大人の恋は波乱だらけ！？
「私が顔を紅めた理由は、高梨部長の事を考えていたからです」

「え……？」

「食事に行くなら、貴方とがいいと思っていたからです。
そしたら恥ずかしくなってしまって顔に出たのだと思います」

「……」


予想外だったのか高梨部長は呆然としたまま固まってしまう。
そんな彼をよそに私の口は止まる事はなかった。


「彼氏がいると言えなかったのは自信がなかったからです。
もし私が貴方の彼女だと皆にバレたら高梨部長に迷惑がかかるかもしれない。
私なんかじゃ高梨部長に釣り合わないから……本当に貴方の隣にいていいか、自信がないんです」


心に留めていた不安を口にすれば、益々胸が痛くなる。
それでも、私は最後まで自分の気持ちを言い切る事にした。


「同情なんかで、好きなんて言いません！
私は本当に高梨部長の事が大好きで、釣り合わないって分かってたから上司と部下以上の関係は望んでいませんでした。
でも、貴方が私を好きだって言ってくれて本当に嬉しかった。
夢なんじゃないかって思うくらい……嬉しくて……」


言葉に詰まりながらも次の言葉を絞り出していく。
時々震える声や、熱くなる目頭、痛くなる胸が改めて教えてくれる。
私は本当に彼が好きなのだと。


「でも、高梨部長は優しくて、格好良くて、皆の憧れの的だから……。
他の人に貴方が見られる度に胸が痛くなって、醜い感情が私を襲うんです。
そんな事最初から分かっていたはずなのに……可笑しいですよね」


無理やり口角を引き上げて彼を見つめる。
高梨部長は言葉を探すように口を開きかけたが、結局声が発せられることはなかった。
それを確認して私は再び話し出す。


「高梨部長が思っているより、私は貴方が好きなんです。
だから……私の想いを否定しないで下さい……。
同情で好きって言ったなんて……思わないで下さい……」


頬を緩めて笑えばいきなり目の前が何かに遮られて何も見えなくなった。
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