大人の恋は波乱だらけ!?
「そりゃあ、驚くよな?
それに気分悪いよな、好きになったきっかけが小説なんて」


哀しそうに笑う彼に、私は首を横に振る。


「確かに驚きましたけど……嬉しいですよ」


目を細めて笑えば、今度は高梨部長が目を見開く番だった。

普通は少し気を落とすかもしれない。
一般的には外見や性格といった要素がキッカケとなって恋に堕ちるだろう。

でも彼はそんな在り来たりなキッカケじゃなくて、小説。
それが私たちの始まりだったんだ。
そう思うと、頬が緩むのが分かる。

自分の好きな物をキッカケで好きになってくれた。
こんな素敵な事が嫌な訳がない。
そう思い笑えば、彼は見開いていた目をゆっくりと細めた。


「本当にお前には敵わないよ」

「何ですかそれ」


クスリと笑い合って、見つめ合う。
彼の瞳は未だに揺れていたけど、さっきと違うのは、その瞳に私が映っているという事だ。
そんな些細な事が嬉しくて私は微笑む。
彼もまた私の顔を見ながら頬を緩めると、再び視線をずらして話し出す。


「桜木の小説を目にしたのは、恋愛ゲームの為だった。
当時って言っても、最近だけど……お前が入社する前の恋愛ゲーム部は全くというほど成果が上げられていなかったんだ。
このままいけば、ウチの部署が潰れる、そういう所まで来ていた」


彼の話には聞き覚えがあった。
確か先輩たちが飲みの席でチラリと言っていたはずだ。
そんな事を思い出しながら高梨部長の話を聞く。


「何か打開策がないかと思い、小説サイトを片っ端から見ていった。
そこで、お前の小説に出逢った」


そう言った彼の瞳は、急に輝きだした。
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