大人の恋は波乱だらけ!?
「桜木、悪い……そんな事されたら俺……」


我慢できない、そう言う様に高梨部長の唇が私の唇へと押し付けられる。
さっき私がした可愛らしいキスとはうって変わった大人のキス。
息が出来ないほど苦しいのに、心は少しずつ満たされていく。


「……桜木……」


高梨部長が囁く様に私を呼ぶ。
その瞬間、火照っていた体が更に熱を帯びていく。
不思議だな、彼に呼ばれるだけで幸せな気持ちになる。
ぼうっとする頭を必死に保ちながら、彼のキスに懸命に応える。
自然に彼の手が私のブラウスへと伸ばされた時、我に返った様に彼の手を優しく掴んで制する。


「悪い、嫌だったよな……?」


哀しそうに眉を下げた高梨部長が目に映ると罪悪感が胸を支配した。
高梨部長とそう言う関係を持つのが嫌な訳じゃない。
早く誤解を解かないと、そう思い小さく口を開く。


「違うんです……。
その……シャワーを浴びたくて……」


こんなに暑い時期だし、汗だってかいている。
匂いが気になってそれどころじゃない。
そう思って、彼を見上げれば、ハッとした様に目を見開いて苦笑いを浮かべていた。


「俺としたことが……悪い、焦りすぎていた。
……先にシャワーを浴びようか」


ゆっくりと私を抱き起すと、情欲が溢れた様な瞳で私を見下ろしていた。
ドキリと胸が高鳴ったが、彼は何もせずに優しく笑った。
高梨部長は私の膝裏に手を滑り込ませて抱き上げた。
お姫様抱っこに胸を高鳴らせながらも、落ちない様に彼の首に腕を回す。


「あまりくっつかれると……なけなしの理性が崩れ落ちるんだが」

「なっ……何を言って……私はただ落ちない様に……」


慌てる私を見ながら高梨部長は面白そうに頬を緩めた。
そして、長い廊下の奥の扉を開く。


「ココの風呂を使ってくれ。
着替えは俺のシャツでも置いておくから」

「さ……先に入っていいんですか……?」

「俺は自分の部屋の風呂を使うから。
それとも一緒に入りたいのか?」


悪戯っ子の様なその顔に顔が熱くなっていく。


「お、お借りします……」


小さく呟いた私を面白そうに見ながら、そっと地面へと下ろしてくれる。
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