大人の恋は波乱だらけ!?
「やっぱり大きいよ……」


お風呂から出た私は、高梨部長のシャツに身を包まれていた。
身長差もあり、私が彼のシャツを着ればちょっとしたワンピースになってしまう。

まあ、こんなに足を出した格好は普段はしないんだけど……。
少し戸惑いながらもリビングへと足を向ける。
緊張からか手に持ったバスタオルや自分の服を握りしめる。

心臓が口から飛び出しそうとはこういう事か。
身に沁みながら実感していればリビングへと続く扉の目の前に辿りついていた。

入らないと、そう思いつつもドアノブに伸ばした手が震える。
恥ずかしい、こんな姿を高梨部長に見られるなんて耐えられない。
これからこの姿を見られる以上に恥ずかしい姿を見せるというのに、変な所で意気地がないのは私らしくて笑ってしまう。


「……行くか……」


大きく深呼吸をして扉を開けた。


「出たか?」

「は、はい」


私が答えれば、リビングで何かの資料を見ていた高梨部長はゆっくりと振り返った。
彼の視線が私へと突き刺さる。
見ているのは確かなのに、何も言わない。
それどころか呆然としながら私を見つめている。


「あの……高梨部長……?」


声を掛ければ、ピクリと肩を揺らす彼。
そしておもむろに資料に目を向ける。
どうしたのだろうか。
そう思い彼へと近付く。


「高梨部長……?」

「……髪の毛……乾かした方がいい……」

「あ、そうですね!ドライヤー貸して頂けますか??」

「そ、そこの棚の上にある」


明らかにどもっている彼。
首を傾げながらもドライヤーを借りようと彼の座っているソファーを横切る。
その瞬間、彼は思いっきり体ごと私から顔を背けた。
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