大人の恋は波乱だらけ!?
「おはよう」

「お、おはようございます……」


柔らかい笑みにつられて挨拶をしたが……。
正直、それどころではない。
恥ずかしくて彼の顔を見る事が出来ないんだ。

高梨部長から顔を逸らして俯く。

だけど、彼の手によって、それすら出来なくなったんだ。


「桜木、こっち見ろよ」

「っ……!!」


高梨部長の手が優しく私の頬に触れる。
そのまま顔を自分の方に向けると、満足そうな笑みが浮かべられた。


「可愛い」

「か、からかわないで下さ……」

「からかってなんかない」


そのまま引き寄せられて、すっぽりと私の体は高梨部長の腕の中へとおさまった。

言葉なんて出せない。

だって、私たちは裸で。

肌と肌が直接ぶつかりあって、体温が交じり合っている。

そんな状況で冷静になれるほど、恋愛経験は豊富ではない。


「い、いやぁっ……」

「っ……」


離れたくてやっとの想いで声を絞り出したのに。
高梨部長は離してくれるどころか、更に強く抱きしめてきた。
< 289 / 514 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop