大人の恋は波乱だらけ!?
「昴さんは……ただ純粋に夢を追いかけているだけじゃないですか。
そりゃあやり方は色々と間違っているかもしれないけど……。
それでも、夢を叶えようとする貴方は格好良いと思います」


自然に緩んだ口元。

だからと言って誰かを騙したり、傷つけていいって事にはならないけれど。
そこまで一生懸命になれる人は珍しいと思う。


「……私は応援します、貴方の事。
だからもう誰かを騙すのは辞めましょう?
人を騙す事で昴さんは自分を傷付けているって気付いてください!」

「……」

「昴さんは少し強引だし、怖いし、自分勝手だけど……」

「おいっ」


彼の睨みに臆する事なく頬を緩めて続きを口にする。


「でも、昴さんは優しい人だから。
私が苦しんでいる時は黙って傍にいてくれました。
厳しい事も沢山言われたけど、それは全部、私に必要な言葉でした。
偶に喧嘩もするけど、貴方といると楽しくて……。
一生懸命な貴方を見ると、私も頑張らないとって思うんです」


昴さんと出逢って、忘れかけていた夢が……。
私にとって小説がどれだけ大切だったかを思い出す事が出来た。


「そんな優しい人が、傷つかない訳ないから」

「……馬鹿じゃねぇ?
お前は俺の事を買い被りすぎだ。
俺は優しい人間なんかじゃねぇよ」


そう言って昴さんは部屋から出て行ってしまう。
そんな彼の背中に何も話し掛けられなかったけれど……。
それで良かったんだと思う。
だって、昴さんなら自分で乗り越えると思うから。

彼が残していった原稿をチラッと見れば、自然に目が細まった。
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