大人の恋は波乱だらけ！？
1人で考え込んでいれば、景子先輩は哀しさなんて感じさせない声で高梨部長に話しかけていた。


「葉月ちゃんが書いた小説が好評って話をしてたのよ！
だから安心したんじゃない？プレッシャーの中でよく頑張ってたもの」


優しい笑みは私に向けられた。

こんなにイイ人をやっぱり傷つけたくない。
私と高梨部長が付き合っているって事は絶対にバレないようにしなきゃ。

そう決意しながら唇をきつく結んだ。


「ああその話か。
上層部でも話題になっているみたいだぞ。
桜木、よくやったな」

「い、いえ……まだどうなるか分からないですし」

「謙虚だなお前は……」


呆れた様に笑うと高梨部長は田中先輩を睨みつけた。


「田中、お前はいつまで俺の手を掴んでいるつもりだ？」

「……忘れてました！葉月ちゃんを守る事しか考えていなかったもので」


ワザとらしくウインクをする田中先輩を見ながら私たちは苦笑いを浮かべる。


「さーて……仕事するか」

「そうですね……」

「ええ」


田中先輩を置いてそれぞれのデスクへと向かおうとすれば慌てた様に彼は追いかけてくる。


「そりゃないって！」

「冗談ですよ、田中先輩！」

「葉月ちゃんって偶に意地悪だよね」


2人で笑いながらデスクへと戻って仕事を再開する。

この職場は明るくて、皆いい人で……。
私の大切な場所だ。
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