大人の恋は波乱だらけ!?
「あの私……」

「ずっと前から気になっていた。
お前があの人を見る目は“特別”だったから。
でも……信じてたよ、桜木が嘗て俺を愛してくれていた気持ちは本物だ。
だから、また俺を見てくれるって」


高梨部長は私を見降ろしながらゆっくりと目を閉じた。
私の頬を優しく撫でながら、愛おしそうにキスを注ぐんだ。


「高梨部長……」

「でも、お前の想いは消えるどころか膨らんでいって……。
今は俺の事なんて目にも入っていないんだろう?」

「そんな事ないです!私は……」


グッと言葉を押し殺した。

高梨部長の事を見ていない訳がない。
ずっと憧れていて、尊敬して、大好きで。
今でもそれは変わらない。

だけど……。

私が好きなのは……。


「じゃあ違うと言うなら……俺が好きだと言うなら……。
俺にキスして、桜木から」

「え……」

「前はしてくれただろう?だったら出来るはずだよな?」


高梨部長は冷たい目で私を見降ろしていた。
きっと、彼は出来ないと踏んでいるのだろう。
私の心は自分にないのだと、そう……気付いているからこそこんな風に問い詰めるんだ。

高梨部長を苦しめていた。
こんな風に冷たい目をさせるまで傷つけていた。

それは分かっている。
ここまで好きでいてくれるなんて信じられないくらい嬉しいのに。

私の心は……。


「……ごめんなさい」


私は軽く高梨部長を押してソファーから飛び起きる。
そしてそのまま鞄を掴み家を飛び出した。
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