大人の恋は波乱だらけ！？

「さよなら」


別れの言葉を言ったのは自分なりのケジメだった。

全ての想いにケリを付けたかった。
いつまでも立ち止まっては居られないから。


「……」


そんな私に貴方は何も言ってくれない。
背を向けて部屋を出ようとしても声すら掛けてくれない。

本当は心のどこかで期待していたのかもね。
だけど、それも終わり。

部屋から出てバタンと扉を閉める。

そこで堪えていた涙が頬へと落ちた。


「うっ……」


涙で前が見えなくなる。

声が漏れそうなのを必死に我慢して歩き出そうとした。

でも。


「葉月っ……」


貴方の声が聞こえたんだ。
扉の向こうから。

気のせいかもしれない。
気のせいに決まってる。

未練がましい自分を嘲笑って歩き出した。

涙を拭う事もせず、張り付けた笑みと共に。