SECRET COCKTAIL
「どれ?この問題?」
真剣な顔で教科書を覗き込む姿にも、つい魅入られながら。
「あの、これなんですけど」
と正直に答えてしまう。
自然と近づく距離感にドキドキと心臓が鼓動を早めた。
「あれ、お前ら何やってんの」
部屋に戻って来たお兄ちゃんが、ドアを開けてきょとんとした表情で立っていて、思わず二人で笑ってしまった。
「お兄ちゃんがいなかったから、代わりに勉強教えてもらってた。雅君、教えるの凄く上手なんだよ」
「雅君って・・・。いつの間に、そんなに仲良くなってんだよ」
「お前の気持ちが少し分かった。俺、弟しかいないから、妹とか新鮮だわ」
「いいから、お前ら離れろって。美來、勉強は俺が教えるから」
「んーん、いい。雅君のが分かり易い」
「美來・・・」
ショックを受けたようなお兄ちゃんの声が聞こえたけど。
教科書に視線を落としたまま、その声を無視した。