SECRET COCKTAIL
「料理しか興味のないような人なんだ」
「え?」
唐突な言葉の意味を瞬時に把握できなくて、雅君の方に視線を向ければ。
彼の瞳は、目の前のオムライスに向けられていて、まるで愛おしむようにそれをスプーンに掬う。
それを見て、ああ、お父さんの事を思い出しているんだと気が付いた。
「昔は、他の家のスーツを着ている親父が羨ましくて、反発していた時期もあったけど」
「うん」
「今は親父を尊敬している。好きな事を仕事にして、あの人だから出来る事をしてる。親父の作ったもので、幸せを感じてくれる人もいる。そんな生き方が出来る親父を、今は本当に尊敬しているんだ」
オムライスを口に入れてにこりと微笑む雅君に、きゅんとしてしまう。
こんな風に誰かの心の内側を知れるって、なんだか嬉しい。