SECRET COCKTAIL


お兄ちゃんが、氷とミネラルウォーターを入れたグラスに、マドラーに添わせてウィスキーを静かに注ぐ。

透明な水の上に、琥珀色が綺麗に浮かんだ。


美しく分かれた色のコントラストが、切子のグラスに映えて光って見える。


「ほら」


「さんきゅ」


雅君はそれを受け取って、無言のまま二人でグラスを合わせる。


一口飲んだ雅君は、「美味いな、これ」と呟いて。

「だろ」と嬉しそうに答えたお兄ちゃんも、グラスを傾けた。


大人になったら、あんなアルコール度数の高い飲み物を美味しいと感じるようになるんだろうか。

今はまだ考えられない。


美味しそうにゆっくりグラスを傾ける二人を見て、そんな事を思った。


「でも、そう言えば母さんいないんだろ?飯は?食ったの?」


「うん、食べた。雅君特製オムライス」


ピースサインを出して自慢すると。

お兄ちゃんは本当に悔しそうな顔をした。

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