SECRET COCKTAIL
扉を開けると、途端に騒がしい音楽や大きな声が耳を塞ぐ。
むっとするタバコの匂いとアルコールが混じった空気が周囲を覆う。
ここは所謂、ホストクラブ。
こういう所は、話にしか聞いた事がなかったから、緊張で足が竦んだ。
「いらっしゃいませ」
黒服の男の人が、嘘くさい笑みを浮かべながら近寄って来る。
「お客様、当店は初めてでいらっしゃいますか?」
勢いに押されて頷くと、さり気なく値踏みするような視線を寄越される。
初めての時は年齢確認をされると聞いていたから。
未成年の私は、バレないように出来るだけ余裕のある態度で立っていたけれど、内心は足が震えて胸がドキドキしていた。
「ご指名はございますか?」
そう聞かれて、咄嗟に手にしていた名刺を差し出した。