SECRET COCKTAIL
「ご指名ありがとうございます。ミヤビです」
真っ黒いスーツに、ネイビーのカラーシャツを着るその人が、片膝をついて挨拶してきた時。
緊張で背筋がピンと伸びた。
その人の視線がこちらへ向けられるのが分かって、ごくりと息を飲む。
視線が宙で交わった瞬間、作り物のように見えたその人の瞳が、光を宿して大きく見開かれた。
貼り付けたような笑顔を浮かべていた顔が、瞬時に能面のようになる。
「み、く?」
「雅君、ごめんなさい。こんな所にまで押しかけて」
ここが、雅君の働いている場所だった。