SECRET COCKTAIL
「約束も果たして貰いに来た」
「約束?」
雅君との間に残っている、たった一つの約束。
「私に、お酒の飲み方教えてくれるって言ったでしょう?」
雅君は、どんなに私がその約束を大事に思っていたかをきっと知らない。
この先、その約束を叶えられる事がないのなら。
それが叶うチャンスは、多分今しかない。
雅君が。
これ以上私には会うつもりはないんだろうって。
私の受験が終わったら、それで最後なんだろうって。
すでにもう、知っている。
それでも、雅君に会いたくて。
諦めきれなくて。
もう一度だけ、雅君に会わせてほしいとお兄ちゃんにお願いをしたんだ。
大学の合格祝いを条件に、一度だけ雅君のいる所に連れて行って欲しいと。
かなり渋られたけど。
お兄ちゃんと一緒に行く事を条件に、働いている場所を教えてもらう事ができた。
そして一度会ったら、お店には二度といかないとも約束させられた。
お兄ちゃんと行くという約束は破ってしまったから、後で怒られるのは覚悟の上だ。