SECRET COCKTAIL
「お待たせしました。こちらテネシー・クーラーです」
テーブルに一つカクテルグラスが置かれて。
それに続いてビールが注がれたグラス、ミックスナッツや数種類のおつまみ、フルーツの盛り合わせが運ばれてきた。
「これ位しかできないぞ」
「充分だよ。ありがとう、雅君」
「言っとくけど、ノンアルコールカクテルだからな」
「うん、いい、それでいい」
つい涙腺が緩んで、声が震えてしまう。
きっと、気付かれてしまっているのだろうけど、雅君は知らないふりをしてくれた。
「ほら」
と促されて、カクテルグラスを持つ。
雅君も、ビアグラスを掲げてくれて。
「合格おめでとう」
最も欲しかった声が、優しく耳を撫でた。