SECRET COCKTAIL
「じゃあ、一度だけしてほしい事がある」
「何でもどうぞ」
「それなら、私にキスしてほしい」
「はぁ?」
「無理だよね。お客さんにできても、私には無理でしょう?」
「美來、お前な」
「私は雅君にとっては、親友の妹に過ぎなくて。お兄ちゃんに頼まれたから私の面倒を見てくれているって分かってる」
「だからそれは、」
「私はずっと忘れられなくて、こうして会えるだけで充分嬉しかったけど。私がどんなに想っていたって、雅君にとっては迷惑でしかないって事も知ってる。一方的な想いだって充分知ってるよっ。だって所詮雅君にとっては、私はいつまで経ったって恋愛対象外でしかないんだか、」
言い掛けた言葉は、最後まで口にできなかった。
扉に向かおうとしていた身体を、いつの間にか引き寄せられ。
目を閉じる暇もなく、唇は塞がれていた。