SECRET COCKTAIL


この男は、俺が美來を何よりも大事にしている事を知っている。


いつだったか、一緒に飲んでいる時、俺が美來を溺愛している理由を話した事があった。


俺と母さんは血の繋がりがない。

それを言った時の驚愕したコイツの表情は忘れられない。


今では本当の母親同様に仲が良くて言いたい事も言い合える仲だけど。

母親が亡くなって父子家庭だった親父と、今の母さんが結婚した時は流石に懐く事が出来なくて。

母さん自身も俺の扱いに戸惑っているのを感じていた。



そんな時美來が生まれて、更に疎外感を抱いた俺に、母さんが言ったんだ。



『これで、やっと本当の家族になれたね』



それを言われた時、意味が分からなかった。



本当の家族になんてなれるはずがない。


だって、俺だけ母さんと血の繋がりがないんだから。


母さんは血の繋がりなんて関係ないと言ってくれていたけれど、俺は血の繋がりという絆にこだわっていて、生まれたばかりの美來にすら嫉妬していた。


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