SECRET COCKTAIL
「再会してからも、優しい言葉一つ掛けてやれなかったのは。自分の気持ちを上手く隠す自信がなかったからだよ。ああいう態度でも取ってないと、自分の気持ちを偽ることなんてできなかった」
こんなに優しい言葉を沢山貰っても。
私の中にはまだ信じられない気持ちの方が大きくて。
苦しい位に胸が一杯なのに。
どこかで素直に受け入れられないのは。
どうしても忘れられないあの人の事が頭に浮かぶから。
「・・・でも、彩芽さん、は?」
「だから、なんでいつも彩芽さんが出て来るんだ?」
雅君は、本当に意味が分からないというように首を傾げる。
「あの日、私が酔って寝ていた日。起きてから雅君を探しに行ったら、二人で飲んでいる時の会話を聞いちゃったの」
「ああ、そう言えば確かにあの日、飲みに来てたな」
今でもあの日の事を思い浮かべると、胸が痛い。
あの日の会話や、雅君の声、二人の空気感、そんな物に胸が押しつぶされそうになる。