SECRET COCKTAIL


「その後、彼の両親に頭を下げて、息子を迎えに行くつもりなんだって。こっちの会社は経営を他の人間に任せて、許してもらえるまで地元で頑張るつもりだって。多分、もう会うのは最後になるって言うから、お願いを聞いたんだ。彩芽さんに決心がついたら、墓参りに付き合うって、出会った頃に約束した事があったんだ。だから、彩芽さんに付き合ったのは、彼女に対するはなむけだよ」



そう、だったんだ。



あんなに不安だったのに。

あんなに嫉妬して、あんなに苦しかったのに。


雅君の言葉で事実を知ると、凝り固まっていた気持ちがゆるゆると解れていく。



「分かってくれたか?」



真っ直ぐに目を見て語ってくれた言葉は、素直に信じる事ができた。

雅君に顔を覗き込まれて、頷きを返す。



知らない二人の過去に軽い嫉妬は覚えても。

それが雅君の言葉を疑う理由にはならなかった。


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