SECRET COCKTAIL
「彩芽さんじゃない。俺にとって特別な人は、一人だけ。ずっと傍に居てほしい人は、その人だけだ」
「雅君?」
向けられる瞳の奥には、熱っぽい揺らめきが見えた。
私は、その言葉の先を期待してもいいのだろうか。
見つめ合っていた視線をふっと逸らした雅君は。
私の前にあるワインクーラーの入ったグラスを指先でそっと撫でた。
グラスから、水滴が雫になって流れていく。
「穂積にでも、聞いたのか?」
「え?」
「このカクテルの、意味」
意味あり気に笑う雅君に、耳まで真っ赤になって俯いた。
だって、大胆な事をしているって、分かってる。
ここに来る前。
お兄ちゃんと別れてから思い立って、電話でこのカクテルの事を聞いたんだ。
だから、これは間違いなく、私の意志だ。