強引な彼の求愛宣言!
寝室に入るなり後ろから抱き寄せられ、思わずバッグを落としてしまった。

でも、そちらを気にしている余裕はない。私の肩口で武藤さんが深く息を吐いたから、ピクッと身体が震えた。



「前も思ったけど。深田さんて、いいにおいするよね」

「ッ、そう、ですか?」

「うん。いろいろ、ガマンできなくなる」



吐息まじりにささやいて、私の左耳を食む。

もうダメ。立ってられない。ドキドキしすぎて眩暈を起こしそうな私に気付いたのか、武藤さんが軽々と私を横抱きにした。

カーテンが開いた窓から月明かりが差し込むだけの、薄暗い室内。数歩足を進めた彼が私をおろしたのは、もちろんベッドで。

ギシリと、軋んだ音をたてながら武藤さんもベッドに上がってくる。



「かわいい、深田さん」



私の頬をさらりと撫で、彼が微笑む。

たぶん今の自分は、最高に赤くてとろけきったカオをしていると思う。私の耳にくちびるを寄せて、彼が低い声を出した。



「キスしてもいい?」



このひと、私が自分の声に弱いの知ってて絶対わざとやってる。

それにこんなこと、ストレートに訊かないで欲しい。ぎゅっと目を瞑ったままうなずけば、真っ暗な視界の中でふっと彼が笑みをもらす気配がする。

すぐに降ってきたくちびるはやわらかく私のそれと重なって、一瞬離れたかと思えば今度は深くふさがれた。



「ん……っ」



あたたかい。気持ちいい。

彼の首元に手をまわして引き寄せながら、夢中になって彼を求めた。
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