強引な彼の求愛宣言!
《あのー……もしもし?》



数秒間無言が続いて、さすがに宮信の女性が話しかけてくる。

ハッとした俺は、あわててデスクの引き出しを開けた。



「えーっと……ですね。すみません、少々お待ちください……」



どこだ、名刺。こないだもらった名刺。

名前、なんだっけな……たしか、二文字だったような……。

もらった名刺を入れているファイルを取り出し、思うように動かない手でもどかしく捲っていく。

ふっと、電話口の彼女が息を吸い込んだ気がした。



《……ぽっちゃりとイケメン、どちらですか?》

「は?」



思わず、間抜けな声がもれてしまった。

いや、取引先の人に「は?」はマズい。でも、つい出てしまった。

だって、……え? ぽっちゃり? イケメン??


一拍置いた後、さっきと同じようにぐっとおさえた声音で、彼女がまた口を開く。



《ぽっちゃりと、イケメン。どちらですか?》



こそこそ小声ではあるけど、ひとことひとこと噛みしめるような、ハッキリしたその言葉。

そして俺は、理解した。


ぽっちゃり──こないだ訪ねて来た、宮信の融資担当の上司の人。

イケメン──その上司と一緒に来た、いかにも女子にモテそうな顔立ちだった若い男性。
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