強引な彼の求愛宣言!
深田さんとの繋がりを得るために友人・松岡をダシに使った今回の計画は、予想以上の成果だった。

なんと松岡と深田さんは思惑通り過去に同じ支店で働いていたらしく、しかもサシで飲みに行ったこともあるほど親しかったのだ。

久々の再会序盤、さりげなく「俺、宮信の永田支店とよくやり取りしてるんだよな」という会話を振ってみたら、松岡まんまと食いつく食いつく。


──永田支店なら、俺が仲良い後輩いるぞ!

──おまえも深田のこと知ってるなら、いっそ今から呼び出すか!


ワイワイ騒ぐのが好きで単純思考が服を着て歩いているようなこの男、わざわざこちらから誘導するまでもなかった。チョロいな松岡。

内心失礼極まりないことを考えつつ、ジョッキの中の残り少ないビールをのどに流し込む。


とりあえず今日の目標は、それなりに彼女と親睦を深めて連絡先を交換することだ。

今後も仕事上関わることがあるのに、いきなりお持ち帰りしようとして引かれても困る。

松岡には……言っとくべきかな。自分の気持ち。

彼女とうまくいった後で、なんて考えてはいたけど、先に伝えておいた方が今後いろいろと協力してもらえるかもしれないし。



「……なー、武藤」

「ん?」



なんだか真面目なトーンで名前を呼ばれ、俺は目を通していたドリンクメニューから顔を上げた。

声音に違わず、どこか真面目くさった表情の松岡が、テーブルに片腕をついて軽く身を乗り出してくる。



「武藤って……今、付き合ってる女いないんだよな?」

「……え、なに松岡、おまえマジでそっちの趣味……」

「ちっげーよ! 彼女ラブだよ俺は!!」



うん、まあ知ってるけど。

デカい声ですかさず反論する松岡に、「冗談だって」とにっこり笑顔を向ける。
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