強引な彼の求愛宣言!
「ほんとに、おまえは……いや、違う。今はそういう話じゃなくて」



ひとりごとが終わったかと思えば、再び松岡が視線を合わせてくる。



「武藤、深田のことどう思う?」

「は?」



思わぬ質問に、酒のせいか若干赤い顔をしている松岡をまじまじと見返した。



「なに、唐突に」



目の前の男は、俺の言葉には反応せずただじっと質問の答えを待っているようだ。

いやまあ、どう思うかって訊かれればめちゃくちゃ自分のモノにしたいしめちゃくちゃアレコレしたいですけど。でもさすがに、そんなこと正直に言えない。間違いなくコイツに怒られる。



「……いい子だよな、深田さん。かわいいし気配りできるし」



結果、当たり障りのないことをとりあえず言ってみた。

それを聞いた松岡は、テーブルの下でなぜかガッツポーズ。いや見えてるけど。



「よしよし、武藤の反応は上々だ……じゃあやっぱりここは俺が、後輩のために一肌脱ぐべきか……いやでも、こういうことは本人たちに……」



俺の真向かいで畳の上にあぐらをかき、うつむきながらブツブツ唱える松岡。

元々の声がデカいから、本人は小さくつぶやいてるつもりの言葉も普通に聞き取れてしまう。


なに、それ。コイツもしかして、俺と深田さんのことくっつけようとしてるのか?

もしそうなら、願ったり叶ったりだけど……肝心なのはそれが松岡の勝手なお節介なのか、それとも深田さんに頼まれて行動しようとしているのかどうかだ。
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