秘密の契約
ロビーの中へ4人は入った。


今にも千波に会いそうで日菜の心臓はドキドキしっぱなしだ。


自然と目が千波を探してしまう。


郁斗はフロントで「高山」と名乗った。



その名前に日菜は「えっ?」と振り返った。



「どうして梨絵ちゃんの名前なの?」


日菜が聞く。


「ばっかだな 朝倉にしたら兄貴にばれちゃうだろ?」


それでは驚かせようと計画していた意味が無くなる。


郁斗は梨絵に宿泊カードを書かせた。





カードキーを貰ってエレベーターに向かおうと歩き始めた。



「日菜?」


混んでいるロビーから千波の声が聞こえた。



千波の声に日菜は飛び上がるほど驚いた。



郁斗も振り向く。


「なんだ、もうばれちゃったのか」


と笑いながらぼやくがすぐに笑みが消えた。


千波の顔は日菜と会えて嬉しいという顔ではなかった。




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