秘密の契約
「……日菜、お嫁さんになって欲しい」


千波が少し緊張した面持ちで日菜を見ている。


「千波くん……それって……プロポーズ……?」


突然の事に頭が混乱して何を言っていいのか判らない。


「プロポーズだよ 日菜は高校生で結婚はまだ早いと思う……やりたい事を縛る気はないんだ だけど日菜と離れて暮らしたくない」


離れて暮らしたくないし、日菜を不安な気持ちにさせたくない。


日菜はくしゃっと顔を歪ませた。


うれし過ぎて涙が出てくる。


「千波くん……いいの?あたしでいいの?あたしは我がままだよ?」


「日菜は我がままじゃないよ むしろ俺の方が我がままだよ 日菜をいつもほったらかしにしてしまうし」


「嬉しい、千波くん、すごく嬉しいっ」


腕を伸ばして千波の胸に飛び込んだ。


「日菜、愛している」


「あたしも愛してます」


涙でぐしゃぐしゃになった顔。


「すごい顔になっている……」


千波は泣き出してしまった日菜の唇に口付けをした。





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