かわいい君まであと少し
「ありがとう」
「ううん。じゃあ、お休み」
「うん、おやすみ」
 電話を切り、スマホをベッドの上に置いて、頭もベッドに預けた。
 明日の夕ご飯は望月課長と一緒じゃないんだな。いや、この五日間は志穂ちゃんのために、みんなでご飯を食べていただけだから。
 変な思考を遮るように体を起こし、とりあえず部屋着に着替えた。そしてミネラルウォーターを取るため冷蔵庫を開けた。冷蔵庫には食材が少し残っていた。ここ最近は望月課長の部屋か聡さんの部屋でしか食事をしていないせいで、うちの冷蔵庫の食材はほとんど減らない。
「お弁当でも作ってあげようかな」
 冷凍保存されていた食材を出して、お弁当用に下ごしらえをした。たぶん望月課長が持っていないだろうと思い、シンプルなお弁当箱とお弁当包みも出した。
 それからシャワーを浴びて、いつもより目覚ましを早く設定してからベッドに入った。

 ◆ ◆ ◆

 志穂ちゃんを聡さんに預け、会社から少し離れた場所に車を停めてもらう。
「あの、これよかったら新幹線の中で食べてください」
 ダークブラウンの紙袋に入れたお弁当を運転席に座る望月課長のほうへと手を伸ばした。部屋で渡そうと思ったけど何だか照れてしまい渡せず、結局こんな間際になってしまった。
「ありがとう」
「多かったら残してください」
「いや、全部食べるよ。すごくうれしい」

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