かわいい君まであと少し
 さて、今日は頑張らなくては。
 パソコンに電源を入れると望月課長が入ってきた。手にはあの紙袋があった。
「あれ、望月課長、荷物多いですね」
 江口君が目ざとく聞いた。
「ああ、お弁当」
「マジですか? 愛妻弁当! いや、望月課長はまだ結婚してないから彼女弁当ですね。いいな僕も彼女欲しいです」
 望月課長は特に否定も肯定もせず「早く仕事をしないさい」と笑って終わらしていた。
 江口君は「はい」と言って、自分の席へと戻った。ちょっと遠回りになるのにわざわざ由加里の席の横を通って。
 望月課長は資料を持って足早に第二会議室へと行った。今回の京都へ行くのはプレゼンのためだった。そのため最終確認を午前中にしてから京都へ向かうのだ。先週からこのプレゼンのために何度も会議を重ねている。上手くいってほしいなと思う。
 お昼休みの時間近くに会議は終わったらしく、人が第二会議室からぞろぞろと出てきた。
 そろそろ行っても大丈夫かなと思い立ち上がったとき、デスクのスマホが震えた。
《会議が終わった。昨日、頼んでおいた資料を持って来てくれ。》
 望月課長の指示通り、資料を持って第二会議室へと向かった。
「失礼します」
 中に入ると少し疲れた顔で望月課長が座っていた。
「一応資料持ってきましたけど、今すぐ必要ないですよね、これ」
「ああ、カモフラージュ。これ車の鍵と駐車券。志穂のこと頼む」
 受け取った鍵と駐車券をポケットにしまい、必要のない資料と会議室用のテーブルの上に置いた。

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