かわいい君まであと少し
「そんなことないよ。だって、今住んでいる部屋だと、モネと遊べないよ」
 それに答えるかのように「にゃーお」とモネのかわいい鳴き声が聞こえてきた。
「ほら、モネも怜子と遊びたいんだよ」
 そう簡単に決められるものでもないと思い「うーん」と電話先で唸ってしまった。
「じゃあ、今週の土曜日、空いてる?」
「空いてるけど」
「その日、大家さんに引っ越しのことや諸々の手続きについて話に行くんだけど、怜子も一緒にどう? 大家さんの感じもわかるし、契約で気になることも聞けるよ」
 それはいいかもしれない。少し聞きたいこともあるし、姉の部屋も何度か行ったことはあるけどちゃんと見てみたい。
「うん、そうする。大家さんと会う時間が決まったら連絡ちょうだい」
「わかった。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
 電話をしながら摘まんでいた夕ご飯はほとんど平らげていた。
 空いたお皿を流しに置き、自分の部屋を眺める。
 心機一転、引っ越しをするのもありかもしれない。同じところ居るのは楽だけど、何も変わらないし、モネを預かることもでないしね。


 目覚ましの音で目を開いた。その視界にまず飛び込んでくるのは段ボール箱だ。
 姉が住むアパートの大家さんと会い、あれよあれよという間に姉の部屋への引っ越しが決まった。
 姉は竹井さんと新居に越していて、私の入居はいつでも可能な状態にしてある。仕事の状況をみながらだけど、五月末には引っ越したいと思っている。

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