かわいい君まであと少し
「おはようございます」
 会社に着き、エレベータを待っていると望月課長が隣に来た。
 望月課長は「おはよう」と返した。
「最近、疲れているようだが大丈夫か?」
 クマがコンシーラーとファンで隠し切れていないか。毎朝、頑張っているんだけどな。
「大丈夫です。引っ越しの準備で遅くまで起きているものですから」
「引っ越しするのか?」
「はい」
「住所変更届け、忘れずに総務に出すんだぞ」
「はい」
 エレベータが一階に到着して、人の流れに乗るようにエレベータに乗りこんだ。数十秒でエレベータは五階に停まった。
 先を歩く望月課長の後ろ姿を眺めながら、この背中を独占している人がいるのか、と思った。
 自分のデスクに着くと、書類を持った野崎さんが来た。
「おはようございます」
「あ、おはよう」
「これ、昨日頼まれていた、データの整理終わりました。確認お願いします」
「ありがとう」
 野崎さんは二年前に入社して、私が指導係をした。野崎さんは丁寧に仕事をするし、呑み込みの早い後輩だ。
 野崎さんから渡されたデータを確認したが、間違いのないわかりやすい売上表になっていた。

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