かわいい君まであと少し
「さてどこから行こうか。ここさ、動物の触れ合いコーナーみたいなのはないんだけど、フラワーガーデンや大きな日本庭園があがるんだ。この前、公園に行ったとき二人とも花見て楽しそうだったら、こういうほうが喜ぶかなと思ってさ」
 望月課長はベビーカーを押し、景色を眺めながら言った。
「はい、お昼ご飯食べたらフラワーガーデンに行きたいです。あと三十分で十二時だし、散歩がてら食事する場所でも探しましょう」
「そうだな」
 公園はどれくらいの広さがあるか見当のつかないくらい青い芝生に覆われている。
 バドミントンをやっている親子、犬や猫などのペットと遊んでいる人、年配の夫婦のお散歩、昼寝をしている人。天気もいいせいか、各々が空の下を楽しんでいた。
 猫と遊んでいる人を見て、モネも連れてきたかったなと思った。
「猫、好きなんだな」
「え?」
「さっきから、あの猫ずっと見てるだろ」
「まあ、姉が猫飼ってるんで。私もモネを連れてきたかったなって。あ、モネはこの前見せた写真の猫の名前です」
「確かにこういうところで猫と遊んだら楽しいだろうな」
 芝生で遊ぶ人たち見ながら、少し細い小道に入った。緑のアーチになっていて、その中は濃い若葉の匂いがする。
「このまま行くと、どこに抜けるんだろう」
 望月課長はアーチの向こう側が見えないか、少し目を細めた。
 緑のアーチに囲われているせいで、周りがよく見えない。葉と葉の隙間からさっきの芝生が見える。
 出口が近付くと水の音が聞こえてきた。そこを抜けると大きな噴水の広場だった。

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