かわいい君まであと少し
「冗談です。仮に約束を忘れていようが、今日はカレーって決めてましたから。私はカレーを作りますので、志穂ちゃんを起こしてくださいね」
 六時に合わせてカレーができあがるようにする。
 志穂ちゃんのために夕ご飯を作るのも今日が最後か。一週間、あっという間だったな。
 子供用レトルトカレーを温めながら、そんなことをぼんやり思った。
 刻んだ野菜やルーを鍋に入れてかき混ぜる。
 フライパンで温めたレトルトカレーは取り出し、少しだけ冷ましておく。
 あとはサラダを作れば完成だ。
「怜子」
 カレーをかき混ぜていると、望月課長が隣に立った。
「何ですか?」
「明日の午後。志穂が帰ったあと、予定空いてるか?」
「はい、空いてますけど」
「なら、一緒に外で晩飯食べないか? 連れて行きたいお店があるんだ」
「私でよければ」
「うん、怜子じゃないと困るから。よかった、店予約しておく」
 そう言って望月課長は志穂ちゃんの隣に座り、スマホを操作し始めた。
 何だろう。すごくドキドキするんですけど。えっ、デートに誘われたんだよね。どうしよ、何着ていこう。
 頭の中で全ての服を思い出す。引っ越したおかげで、現在自分が持っている服を完璧に把握している。
 明日の洋服を考えているうちにカレーができあがった。
「夕ご飯できたよ」
 声を掛けると「はーい」と言う、二人の返事が聞こえた。

< 143 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop