かわいい君まであと少し
 志穂ちゃんはそのボールを両手で握ると小さく投げた。それのボールを望月課長がキャッチした。
 楽しそうに笑いながらボール遊びをする二人のんびり眺めた。ときどき私のほうに転がってきてボールを志穂ちゃんのほうへ転がし、三人の小さなキャッチボールとなった。
「そろそろ帰って、出かける準備をしたほうがいいんじゃないですか?」
「そうだな。よし、志穂帰るぞ」
 望月課長はボールをベビーカーに付いているポケットにボールを入れた。そして志穂ちゃんを抱き上げた。
「行くか」
「はい」
 ゆっくりとした足取りで公園を後にした。
 部屋に戻り、出かける準備をしながら「あの、チャイルドシートは大丈夫ですか?」と聞いた。車に小さい子が乗るということは、絶対に必要なものだ。しかも、そこらで調達できるものでもない。
「大丈夫。志穂と一緒に車までここの駐車場に置いていった。ちゃっかり大家さんに許可までもらってるし」
「しっかりしていますね、妹さん」
「ああ、まったくだ」
 望月課長が窓の戸締りをしている間に、ガスの元栓を確認した。
「さて、行くか」
「はい」
 望月課長は志穂ちゃんを抱きかかえ、私はパンパンに膨らんだトートバッグとベビーカーを持った。
 子供が一人いるだけで荷物がこんなに増えるんだなと、思った。
 駐車場に着くと、まず志穂ちゃんをチャイルドシートに乗せ、シートベルを締めて、緩みがないかを確認する。

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