かわいい君まであと少し
 やっぱり保育士だなと、思った。
「あの、さっき望月課長から聡さんが以前保育士として働いていたって聞いたんですけど、今は違う仕事に就かれているんですか?」
「はい。今はフリーのシステムエンジニアをしています」
「ITのお仕事なんですね。保育士からITってすごいですね」
「大学は理工学部なんで」
「えっ? 保育士って専門学校や保育関係の学部を出ないとなれないんじゃないですか?」
 私が驚いて聞き返すと、聡さんは分かりやすく説明してくれた。
「一般的には厚生労働省が指定する保育士養成校を卒業して保育士なるのが普通ですよ。ただ、一定の条件を満たしていれば保育士試験を受けることができるんです。その試験に合格すれば保育士養成校に行かなくても保育士になれるんです。僕の場合は大学四年の時に合格しましたね」
「そうなんですか。初めて知りました」
「聡は大学生の間、健全な大学生活を送ってたよな。勉強、パソコン、バイト、勉強、パソコン、バイトの繰り返し」と望月課長は聡さんを褒めるような、若干あきれるような感じで言った。
「聡さん、望月課長はどんな大学生だったんですか?」
「そうですね。女の子によくモテていましたね。合コンや飲み会に出ると、常に女の子に囲まれていましたよ」
「へーえ。合コン好きだったんですか」
 私のその一言に、望月課長がパンを喉に詰まらせて顔を赤くしながらむせた。
「志穂の前で変なこと聞くな。教育に悪い。聡、変なこと言うの禁止」

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