かわいい君まであと少し
「すごいですね。アプリまで作るんですね」
「いや、アプリは結構簡単に作れるんですよ」
「でも、すごいです。私なんか普段使っているスマホ、全部の機能使えてないですし」
 自分が普段使っている機能なんて、メール、電話、カメラ、ちょっとメモ、ネット検索、アラーム。ガラケーを使っていた頃と変化がほとんどない。
 ITの仕事をしている人を見るとすごいな、と思う。
 在宅ワークをしているためか、部屋がきれいに整理整頓されていた。仕事スペースには、長時間座っても楽そうなイスとデスク。そのデスクにはモニターが二台。横には丈夫そうなラックに、専門書が並んでいた。
「なあ、この近くに大型のスーパーあるか?」
 食事を終えた望月課長が聡さんに聞いた。
「ありますよ。ここから車で十分くらいのところに」
「そうか、帰りにそこで買い物していくか」と望月課長がこっちを見た。
「いいですけど、志穂ちゃんの夕ご飯は六時ですよ。ちょっと急いでここを出ないと」
「そうだな」
 志穂ちゃんの生活リズムを維持しつつ、自分たちの日々をこなすというのは本当に難しいと、たった二日で思う。母親って本当に偉大だな。
「買い物って、長くても二時間くらいで終わりますよね」
 聡さんが志穂ちゃんの口周りを拭きながら聞いてきた。
「まあ、それぐらいだ」
「なら、僕が志穂ちゃんを見てますから、二人で買い物行ってきてください。僕と二人っきりになる、志穂ちゃんの予行練習ってことで」

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