かわいい君まであと少し
「必要な分しかないから、少し増やすかな」
 棚からバスタオルやフェイスタオルを吟味している。
「柄物より無地かな。白は黄ばむし、ブルーとグリーンでいいか」
「そうですね。タオル系はシンプルが一番ですよ」
 タオルを買い物かごに入れ、すぐ隣にあったキッチン用品コーナーへ移動した。
「菜箸としゃもじ、あと厚焼き玉子用のフライパン。怜子が選んで。何がいいのかよくわからない」
「あの厚焼き玉子用のフライパンも要りませんよ」
「え! もう作らないのか玉子焼き」
「いや、作りますけど普通のフライパンで充分です」
「でも専用のほうが作りやすいんじゃないのか?」
「そうですけど、ゆたさん、料理しないのに買ってもしょうがないでしょ。いいですよ、厚焼き玉子用のフライパンは私の部屋で使っているのを持っていきますから」
 私が“ゆたさん”と言った瞬間、望月課長の眉毛がピクッと上がった。
 名前で呼んでもらえるとでも思ったのだろうか。
 使いやすそうな菜箸とご飯が付きにくいしゃもじを選び、買い物かごの中に入れた。
「ここの階で買うものはこれで終わりですかよね」
 買い物かごの中に入っているものを確認しながら聞いた。
「そうだな。じゃあ、買ってくるよ。どこで待ってる?」
「下に降りるとき、この荷物の量だとエレベータですよね。あそこのエレベータ前で待ってます」

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