かわいい君まであと少し
「わかった。ちょっと行ってくる」
 エレベータの近くに置かれているイスに座り、遠くに見えるレジを眺めた。
 望月課長の前には、ここから見える範囲で二人並んでいる。順調に前が進み、望月課長の姿は見えなくなった。五分くらいすると、カートを押して望月課長が戻ってきた。
「お待たせ」
「じゃ、次はベビー用品ですね」
 二階へ降り、ベビー用品コーナーに入る。そこはさっきまで居たところとは打って変わってパステルカラーやビビットカラーの世界が広がっている。
 お客さんも若い夫婦や妊婦さんが多かった。
「みんな、小さくてかわいいですね」
「そうだな」
 商品を見ながらゆっくり歩いた。
「あ、靴下」
 靴下がぶら下がっているラックの前で足を止めた。
「靴下がどうかしか?」
「昨日、荷物みたとき替えの靴下一つだけでしたよね。乾かなかったときのために、予備でもう一足あったほうがいいですよ」
「そうだな。どれにするかな?」
 二人で気になる靴下を手に取ってみる。
 望月課長は赤い地にウサギの絵が描かれているものや白地に赤のドットのものを選んでいた。
 私はピンク地に向日葵の絵柄のものとクリーム色にピンク色の花が散りばめられているものを選んだ。
「どれにしましょうか。そのウサギのかわいいですね」
「でも、怜子がもっているピンクの花のもかわいいよな」
「ですよね。子供服って、どうしてこうかわいいんですかね。着る期間が短いのにいろいろ買ってしまう親の気持ちわかりますね」

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