かわいい君まであと少し
「だな」
 ウサギの靴下と花柄の靴下を見比べながら、二人で唸ってしまう。
 志穂ちゃんならウサギの靴下のほうが似合いそうだし好きそうだな。
「よし」
 望月課長は私の手から花柄の靴下を取り、買い物かごに入れた。そしてウサギの靴下も入れた。
「両方買うんですか?」
「ああ、靴下は消耗品だし、別にいいだろう」
「そうですけど、妹さんに物は買い与えないでとか言われていないんですか?」
「靴下だけだよ。ほら、次に行くぞ」
 他の靴下をラックに戻すと、オムツが山積みされているコーナーへ向かった。
 何組かの夫婦とすれ違い、ふと思った。
 私と望月課長も夫婦に見えるのだろうか。私が夫婦だと思っていた人たちの中に、夫婦ではない人たちはどれくらいいるのだろう。
 そんなことを考えても、たいして意味のあることではなし、私と望月課長が夫婦に見られようが見られまいが関係のないことだ。
「こうしてると本当の夫婦みたいじゃないか?」
 なぜ、同じようなタイミングで、同じようなことを考えているんだろう。
「いや、違いますし」
「奥様は不機嫌だな」
「奥様ではありません」
「そうだった、彼女だった」
「もういいです」
 望月課長との、こういう会話にも慣れてきた。正確には諦めるしかないと気付いたのだ。そしてどこか楽しんでいた。
「さて、どのオムツ買いましょうか?」

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