かわいい君まであと少し
 小柄でかわいらしい女の子と手をつないで歩いている晃を見つけてしまった。
 その日は遊園地に行く予定だった。でも、晃に予定が入ってしまい、前日に“ごめん”というメールがきた。メールには親が来るからと書いてあった。
 どこが親だよ。
 頭にきた私は、仲良く手をつなぐ二人の所へ行った。
「晃、何してるの、こんなところで」
 突然、私が現れたことで、晃は慌てふためき、繋いだ手をぱっと離した。
「いや、あの、これは、その、なんだ、彼女は、ああ、あれだ、妹」
「妹さん?」
 見え透いた嘘にとりあえず乗ってやった。
「そう。メールで今日は親が来るって言ってたよね。妹さんも一緒だったんだ」
「そうなんだよ」
 隣にいる彼女はすごい形相で、私と晃を睨んでいた。
「せっかくの家族水入らずのところお邪魔するのも悪いから、私はこれで。晃、今日何時になってもいいから電話ちょうだい」
「あっ、わかった」
 私は偽の妹さんにこれでもかってほどの笑顔を向けてその場を去った。その時も彼女は私を睨んでいた。
 その日の夕方に晃が部屋にやってきた。そして、ものすごい勢いで土下座をされた。
「ちょっとした出来心で。本当にすみませんでした」
「妹じゃなかったんだね、わかってたけど。ねえ、ここでそうしてるってことは、あの子とはきっぱり縁切ってきたんだよね」
 顔を上げた晃の目が泳いでいた。
「いや、ちゃんと別れるから」
「別れてもいないのに謝ってるの? 信じられない」

< 8 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop