放課後、キミとふたりきり。
「うん。藤枝さんなら矢野くんの心を開いて、転校のことも引き出せると思う」
並ぶふたりの姿を思い浮かべると、胸がもやもやし、ズキズキする。
矢野くんに何を言われても平然としていた藤枝さんを、うらやましいと思った。
こんなに人をうらやましいと思ったことは、いままでなかった。
「それはダメだ!」
すぐそばで聞いていた栄田くんが、なぜか怒ったように叫んだ。
「栄田くん……?」
「なんで矢野の元カノなんかに頼むんだよ! イマカノならまだしも、とっくに別れた相手だろ!?」