放課後、キミとふたりきり。

悩みながら選んでいると、不意にお店の入り口から「あー!」と大きな女性の声がした。

驚いて声がした方を見ると、私と同じ制服の女子生徒が4人、こっちを向いていた。


その中のひとりがこっちを……矢野くんを指さしている。

手足の長い、スタイルの良いその女子生徒に、ぎくりとした。


藤枝さんだ……。

去年、矢野くんと同じクラスにいた人で、そして―—矢野くんの元カノ。


色白で、色素の薄い長い髪がとてもきれいで、顔も華やかな美人。

並ぶと矢野くんとお似合いで、去年は有名なカップルだった。

ふたりが別れた時はかなり騒がれ、しばらくふたりの噂でもちきりだったことも思い出す。


その頃から私は矢野くんが気になり始めて、けれど藤枝さんみたいな美人と付き合っていた人が、私のことなんて好きになるはずないよなあと、恋を自覚すると同時にひとり勝手に失恋していたっけ。


「瞬がいるー! なにやってんの?」

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