放課後、キミとふたりきり。
藤枝さんが嬉しそうにこっちに歩いてくる。
私はできるだけ存在感をなくそうと、じりじりと矢野くんから距離をとり、息をひそめた。
「うるせー、藤枝。おまえこそなにやってんだよ」
「あたしは食べるもの買い込んで、これから学校でみんなで勉強会」
「勉強会? 食ってしゃべって騒ぐだけだろ?」
「ひっどー。ちゃんと勉強もするし……って、え!? 女の子!?」
藤枝さんが、棚に隠れようとしていた私を見つけてしまった。
無視するのもどうかと思い、びくびくしながら彼女に向かって小さく頭を下げる。
「ど、どうも……」
なぜかへらへら笑ってしまい、矢野くんに睨まれた。
すみません。もう喋りません。
「瞬が女の子と買い物してるなんて……。あたしの買い物には全然付き合ってくれなかったくせに」
「おまえの買い物長いんだよ。付き合ってらんねー」
「じゃあ、この子の買い物に付き合ってるのはなんで?」
藤枝さんの、意思の強そうな目が私をとらえる。