6月の花嫁
ひとまず病室に返された私とお母さん。
お母さんはまだ泣いている。
私は如何してか涙のひとつも流れなかった。
どうやら今日から放射線治療の為に私は入院みたいで。お母さんは私の荷物を取りに1回家に戻ると言っては泣きながら病室を後にした。

枕元にお母さんが置いてくれた携帯があるのが目に入って、私は携帯を開く。

《 ミホ、大丈夫?明日も仕事で飛行機が飛ぶ時間がもう近付いてきちゃったから今日は先に帰ってます、ごめん。本当は一緒についていたかったけど、検査が終わったら連絡下さい。》

リクからだ。

私はリクからのメールを見ては手の震えが止まらなかった。

死ぬかもしれないなんて、
最愛の人に言えるはずがなかった。

ようやく、自分が突きつけられた病気と状況がわかった。

携帯の画面には頬を伝った涙の粒が2粒、3粒と落ちていく。


《 大丈夫。大丈夫だけど、私たちもう別れよう。今日までありがとう。》

震える手で打った文字。
別れようなんて言っちゃった。
別れたいなんて思ってない。
でも、未来のない私なんかと一緒にいても
リクは幸せになんてなれない。
それにリクが悲しむ顔が見たくなかった。


私たち、どうなるんだろう。
私たちに明日は有るんだろうか。
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