イジワルなカレの愛情表現
「あの、私は永瀬さんのお話が聞きたいんですけど」

「先に答えてくれないなら、俺も話さないから」


本当になんなの? 永瀬さんは! 考えていることが全く分からない。でも――。

相変わらず永瀬さんはニコニコ顔で私を見据えたまま。
その瞳は「早く話せよ」と無言の圧力を与えてくる。


これはきっと私が話さないことには、永瀬さんも話してくれなさそうだ。


「私の話なんて聞いても、つまらないだけですよ?」


そもそも聞かれてすぐに思い出せないほどの理由なんだから。

「いいよ、話して」


それでも彼は聞きたいらしい。


手帳を閉じ机の上に置いて、必死に思い出していく。


私がこの会社に入ろうと思った理由……えっと、たしか――。
記憶を辿っていくと、自分らしい動機に辿り着いた。


「……両親を喜ばせたいがため、です」


騒がしい居酒屋店内で静かに呟くと、永瀬さんを目を丸くさせた後、大きな声を上げて笑い出した。


「アッハハハハ!! さすがは尽くす女! 入社動機まで両親のためとか!」

「きっ、聞いておいて笑わないで下さい!!」


笑われるだろうなとは予想していたけど、ここまで大笑いされちゃうと、居たたまれない気持ちになってしまう。
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