焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
佳代の言葉を受け止めてはいても、まだ昨夜の今日じゃ気持ちが昂ったままで冷静になれるとは思えない。
だから、隅っこの方に腕組みして佇んでいる勇希から、私は顔を背けた。


「智美」


そんな私を、佳代が険しい表情を浮かべて諫める。


「智美が本気なら、別れるって答えでもいいと思う。でも、六年も付き合ってた人と別れるのに、言い逃げして終わらせるわけにいかないでしょう?」


いつもは柔らかい雰囲気の佳代に強い口調で言われて、私も反論は出来ない。


それ以前に、私もそう思っていた。
冷静になって話をして別れないと。
そう、少し落ち着いたらちゃんとそうするつもりでいたけれど、まだちょっとタイミングが早い。
私の心はほんの少しの衝撃にも大きく揺さぶられそうだし、感情的になってしまいそうだ。


けれど、エントランスのど真ん中で立ち尽くす私たちに気付いて、勇希の方から近寄って来た。
その足音に振り返った佳代が、先に勇希に声をかける。


「おはよう、葛西君」

「……おはよ。ごめん、島田さん。また智美が転がり込んで迷惑かけてる」
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