焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「わかってるよ。だから私は文句も言わずに勇希の分の夕食も作ってます」

「……そりゃ、ありがたいって思ってる。でもな、俺はこの週明けからもう四日連続で昼も夜もカレー食ってるの! そりゃ飽きるし、うんざりするのも当然だろ!」

「……」


気持ちはわからないでもない。
たぶん勇希が本当に私に言いたいのは、『手を抜き過ぎだ』という不満だろう。


そこは私もそれなりに思い当たる節はある。
まだ付き合いたてとか同棲したての頃だったら、私ももう少し気を遣って夕食を用意しただろうと思うから。


でも私たちは付き合いたてのラブラブカップルじゃないのだ。
もうすぐ付き合って七年目に差し掛かろうというこの時期、思い遣ってカッコつける関係はとっくの昔に終わっているんだから。


キュッと音を立てて蛇口を捻る。
水が止まると、私は布巾で手を拭きながら、クルッと身体を回転させて勇希と向き合った。
そして、グッと顔を上げてその大好きな瞳を睨みつける。


「あのね。私は勇希の妻じゃないし、料理が仕事でもないの! でも『同じ会社』なんだし、勇希が忙しいのわかってるから、私だって残業してきて疲れてるけど、作ってあげてた。そのメニューが簡単で適当な物になったからって、文句言うな! 言うなら食うな!!」
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