焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
思いっきり早口で捲し立てると、一瞬勇希が怯んだ。
その気配を感じて、今度は私が勢い付くターンに差し掛かる。


「時間なかったし圧力鍋でもないんだから、イモもニンジンもむしろ硬かったの! なのに勇希はご丁寧にもこんなに潰してくれちゃって!」


そう言いながら、右手を大きく横に払って、勇希の視線を再び三角コーナーに誘った。
勇希も微妙に視線を泳がせる。
そして、反論の余地を失ったとでもいうように、ガシガシと頭を掻いて大きな溜め息をついた。


「……ゴメンナサイ」

「それ、イモに謝ってるの? それとも私?」


嫌味たらたらに言いながら、勇希に負けず深い溜め息をつく。
彼の横をフイッと擦り抜けると、私はリビングに戻った。


「おい、智美……」


追いかけて来る声を無視して、私はリビングを突き進んでその奥の寝室に進んで行く。
大きなクローゼットを開けて、上の棚から旅行用のボストンバッグを引っ張り下ろす。
その中に、手当たり次第に服やら下着やらを突っ込む。


「智美って」


後から入って来た勇希が私の行動を見止めて、慌てたように私の手を止めた。


「何やってんだよ」

「実家に帰らせていただきます」

「バカか。お前の実家、長野だろうが。毎日新幹線通勤する気か」

「……」
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