焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……大丈夫。俺の方は、智美は俺と『別れる前提』でいるって意識しておく。ただのルームシェアの感覚でいてくれればいい」


まるで自分に言い聞かせるように告げる勇希に、私はどう反応を返していいかわからない。


三年間の同棲がただのルームシェアになる。
その『関係の格下げ』は、本当に別れるまでのただの準備期間。
勇希はそう言っているのだ。


「それに……家借りるのもホテル住まいも、金厳しいだろ? 智美にとっても、悪い話じゃないと思うけど」

「う……」


懐具合を探られたら、私は強気で言い返せない。
悔しさいっぱいで、私はテーブルに手をついたまま、出来る限り厳しい目をして、勇希の横顔を睨みつけた。
チラッと向けられる視線が、勝ち誇ったように見えるのがとても腹立たしい。


「俺のことなんか考えなくていいし、俺も……智美のことは考えないようにする。話すのも、智美が話せる時だけでいい」


それを聞いて、私はまだ心のどこかで迷いながらテーブルから手を離して、ゆっくりと姿勢を正す。


無理強いはしない。
私が冷静に話せるまで待つ。
そう言われている気がして、私は決意を固めるように大きく息を吸った。


「……わかった。それなら、そうする」


とっても不本意ではあったけれど、私は結局、唇を尖らせてそう返事をした。
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