焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「連絡くれれば、車出したのに」


廊下に踏み出す私の後からついてきながら、勇希がシレッと声を掛けてきた。


「……ただのルームメイトにそんな甘え方出来ません」


やっぱり不機嫌を抑えられないまま、唇を尖らせて答えてリビングに入る。
肌に纏わりついていたモワッとした空気が和らぐ。
汗ばんだ肌に、部屋のドライの空調が心地よかった。


「ふ~……涼しい~……」


思わず声を漏らしてペッタリと座り込む私をクスッと笑って、勇希がリビングのドアを閉めた。


「疲れたろ? シャワー浴びて来いよ」


そう声を掛けられて、思わず普通に「うん」と返事をしそうになる。
グッと唇を閉じて見上げると、勇希は私の視線に小首を傾げた。


「なんだよ?」

「……何? 気持ち悪いくらい『普通』じゃない?」

「失礼だな」

「自分ではそう思わないの?」


不信感満載で胡散臭さを隠せないまま目を細めると、勇希は小さく肩を竦めた。


「『ルームメイト』を歓迎してるんだけど」

「それにしては馴れ馴れしい」

「そりゃ……俺にとってはまだ『彼女』だから」

「……何が『彼女』よ……」


思わず愚痴るように呟いた。
それなりに気遣っているせいか、別れる前提でいる私に対して、ほんの数日前と比べて信じられないくらい勇希が友好的なのが、癇に障る。
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